創業融資を申請する際、資金計画は非常に重要な要素です。金融機関は、創業計画書に記載された事業の見通しと同様に、具体的な資金計画に基づいて融資の可否を判断します。ここでは、資金計画の立て方について、基本から応用までを解説し、創業融資の審査に通過するためのポイントをお伝えします。
資金計画とは?
資金計画とは、事業においてどれだけの資金が必要であり、その資金をどのように調達し、またどのように活用していくかを具体的に示した計画のことです。創業段階では、設備投資、運転資金、仕入れ資金、人件費など、多くの費用が発生するため、これらの費用を適切に見積もり、それに基づいた計画を立てることが求められます。
1. 必要資金の算出
創業時に必要な資金を正確に見積もることが最初のステップです。 ここでは、必要資金を大きく「固定資産」「運転資金」に分けて考えます。
- 固定資産:設備や機械、店舗の内装、事務機器など、長期間使用する資産にかかる費用。
- 運転資金:仕入れや人件費、家賃、広告費など、事業を継続するために必要な費用。
特に運転資金は、事業が安定するまでの期間の売上が安定しない可能性を考慮して、少なくとも3〜6ヶ月分の運転資金を確保するようにしましょう。
2. 資金調達方法の検討
資金調達の手段として、創業融資以外にも自己資金や助成金、投資家からの資金調達など様々な方法があります。金融機関は自己資金の有無を重視するため、自己資金の割合が全体の30%程度を目安に計画を立てることが推奨されます。
- 自己資金:創業者自身が持ち出す資金。信頼性を示す上でも重要。
- 金融機関からの融資:創業融資として借り入れる資金。
- 助成金や補助金:条件を満たせば返済不要の資金。
3. 資金の使い道を明確にする
資金計画を作成する上で、資金の使い道を細かく設定することが重要です。金融機関は、資金がどのように使われるのか、具体的な用途を確認します。
例えば、設備投資や内装工事の費用、人件費、仕入れ費用、広告宣伝費、運転資金など、各項目について具体的な金額を設定しましょう。また、予算がどのように使われ、どのような成果が期待できるかを説明できるようにしておくことが大切です。
4. 売上予測と損益計画を立てる
金融機関は、融資を通じて事業が成長する可能性を見極めたいと考えています。そのため、売上予測と損益計画の提示は不可欠です。
売上予測のポイント:
- ターゲット市場の規模と顧客層を把握する
- 競合分析を基に価格戦略を決定する
- 売上の季節変動やリスク要因を考慮に入れる
損益計画のポイント:
- 売上高、原価、粗利益を具体的に記載
- 固定費(家賃や人件費)と変動費を明確に区分
- 必要な利益率を意識して計画を立てる
これらの計画を元に、収支のシミュレーションを行い、事業が軌道に乗るまでの間の収益と支出のバランスを把握しましょう。
5. 資金繰り表を作成する
資金計画の一部として、「資金繰り表」の作成も忘れてはいけません。資金繰り表とは、月単位での収入と支出の推移を示した表で、キャッシュフローの状況を把握するために非常に重要です。
資金繰り表の作成手順:
- 月々の収入(売上高や融資額)を計上
- 支出(人件費や仕入れ費、固定費など)を計上
- 資金が不足しないように、計画を立てていく
資金繰り表を作成することで、売上が予想通りに進まない場合のキャッシュフローリスクを事前に把握し、対策を講じることができます。
6. 資金計画書を作成する
これらの内容を踏まえ、資金計画書を作成しましょう。資金計画書は、創業計画書の中に含める形で提出するのが一般的です。ポイントは、「正確さ」と「具体性」です。
資金計画書を作成する際には、以下の点に留意してください:
- 必要資金の内訳を具体的に記載
- 自己資金の割合や融資希望額を明示
- 資金の使い道とその効果を明確に説明
7. 専門家のアドバイスを受ける
資金計画の立案が難しい場合、専門家(中小企業診断士、税理士、経営コンサルタントなど)のアドバイスを受けることも有効です。特に初めての創業であれば、専門家の意見を取り入れて計画をブラッシュアップすることで、金融機関の信頼を得やすくなります。
まとめ
創業融資における資金計画は、事業の見通しを立てる上で欠かせないステップです。必要資金の算出から資金繰り表の作成まで、しっかりと準備を行うことで、金融機関の審査をスムーズに通過することが可能となります。計画を立てる際には、慎重かつ具体的に取り組み、融資の成功を目指しましょう。