創業時の資金調達として利用されることが多い「創業融資」ですが、その際に求められることのある「保証人」について、十分に理解しておくことが大切です。保証人を依頼する場合や依頼される場合、保証人の役割やリスクを正しく認識しなければ、後々トラブルに発展する可能性があります。
本記事では、創業融資における保証人の役割やリスクについて詳しく解説し、リスクを最小限に抑えるためのポイントも紹介します。
保証人の役割とは？
創業融資を受ける際、金融機関から「保証人」を求められることがあります。これは、融資を受ける企業（借り手）が返済不能になった場合、保証人がその返済義務を負うことを意味します。保証人を立てることで、金融機関は融資に対するリスクを減らし、借り手も融資を受けやすくなります。
保証人には大きく分けて以下の役割があります。
- 融資の返済保証
融資を受けた人（または会社）が返済できなくなった場合、金融機関は保証人に対して返済を求めることができます。これにより、金融機関は貸し倒れのリスクを軽減します。 - 信用補完の役割
創業時の企業は信用力が低く、金融機関にとっても融資に対するリスクが高いため、保証人を立てることで信用の補完が行われます。これは、特に自己資金が少ない場合や、事業の実績が少ない創業期において重要な要素となります。
保証人が負うリスク
保証人を引き受けることには、重大なリスクが伴います。保証人になるということは、実質的に「融資を肩代わりする可能性」があることを意味します。以下のリスクをしっかりと理解しておきましょう。
1. 返済義務が生じるリスク
保証人は、借り手が返済できない場合に代わって返済義務を負います。これは、借り手と同等の返済責任を持つことを意味し、多額の債務を抱えることになるリスクがあります。万が一の事態が発生した際、保証人が負担する額が非常に大きくなる可能性があるため、慎重な判断が必要です。
2. 連帯保証人の場合のリスク
一般的に、創業融資で求められるのは「連帯保証人」であることが多いです。連帯保証人は、主たる借り手と同等の返済義務を負い、金融機関から直接請求を受けることが可能です。つまり、借り手の返済が滞った場合、金融機関は保証人に対して即座に返済を求めることができます。
3. 財産や信用に対する影響
保証人が返済を肩代わりする場合、個人の財産が差し押さえられるリスクがあります。また、保証人として返済責任を果たせなかった場合、信用情報に悪影響を及ぼすことがあり、その後の融資や取引に影響を及ぼすことも考えられます。
保証人を引き受ける際に確認すべきポイント
保証人を引き受けることには重大な責任が伴うため、慎重な判断が必要です。以下のポイントを確認しましょう。
1. 借入内容の詳細を把握する
保証人としての責任を引き受ける前に、融資の詳細内容を必ず確認しましょう。融資金額、返済期間、金利、毎月の返済額など、すべての条件を明確に理解し、返済計画が現実的かどうかを確認します。
2. 事業の状況を把握する
借り手が計画している事業の内容や現状の売上、今後の見通しについても理解しておくことが重要です。事業計画書を確認し、返済計画に無理がないかをしっかりとチェックしましょう。
3. 保証の範囲と内容を確認する
金融機関によっては、保証人に求める条件や範囲が異なります。保証額や保証期間、解除条件などについても十分に確認し、納得の上で引き受けるようにしましょう。
創業者が保証人を依頼する際の注意点
創業者として、保証人を依頼する際にも注意が必要です。保証人を立てることで融資が受けやすくなる一方、保証人に迷惑をかけないような配慮と慎重さが求められます。
1. 保証人のリスクを明確に伝える
保証人に依頼する際は、保証人が負うリスクについて正直に伝えることが大切です。安易に保証を依頼するのではなく、リスクを正確に説明し、保証人としての責任を理解してもらった上で依頼しましょう。
2. リスク回避策を検討する
保証人を立てるのではなく、他のリスク回避策を検討することも一つの方法です。たとえば、日本政策金融公庫の融資など、一部の創業融資では無保証人で融資を受けられる制度もあります。このような制度を活用することで、保証人を依頼しなくても融資を受ける選択肢が広がります。
まとめ：保証人の役割とリスクを理解し、慎重な判断を
創業融資を受ける際の保証人には、返済義務を肩代わりする重大な責任が伴います。保証人を引き受ける際は、融資の詳細をしっかりと把握し、リスクを理解することが重要です。また、創業者として保証人を依頼する場合にも、保証人への十分な配慮が求められます。
融資を受ける前に、無保証人での融資制度や、担保を活用する方法など、他の選択肢を検討することもリスク回避の一つの手段です。いずれの場合も、慎重な判断と適切なコミュニケーションが事業の安定につながります。
